「食べる」だけじゃない!韓国語「먹다」の不思議な世界キム・ユニ先生のブログ19
アンニョンハセヨ!韓国語講師のキムユニです。
前回の「食べることにまつわることわざ」特集、楽しんでいただけましたか?今回のテーマは、予告通り「『食べる(먹다)』の不思議な世界」です。
韓国語を習い始めるときに、誰もが最初に覚える動詞「먹다(モクタ=食べる)」。 でも、ネイティブの会話をじっくり聞いていると、ご飯以外のものまで本当に色々なものを「食べて」いることに気づきます。
日本語だと「えっ、それを食べるの?」と驚いてしまうような、大人の会話をぐっと豊かにする「먹다」の面白い表現をいくつか集めてみました。
1. 心や決意も「食べる」
まずは、初級の教科書やドラマのセリフでもよく耳にする、基本の「食べる」からおさらいしてみましょう。
① 나이를 먹다= 歳をとる
日本語では「歳をとる」と言いますが、韓国語では「歳を食べる」と表現します。
「새해가 되면 나이를 한 살 더 먹네요.」
(新年になると、歳をひとつ多くとりますね。)
② 마음을 먹다= 決心する、心に決める
直訳すると「心を食べる」です。あちこちに散らばっていた自分の心を、自分の内側に「ぐっと 飲み込んで固める」ようなイメージを浮かべると、とても腑に落ちる表現ですよね。
「올해는 한국어 공부를 열심히 하기로 마음을 먹었어요!」
(今年は韓国語の勉強を一生懸命がんばろうと心に決めました!)
また마음을 독하게 먹다(=心を鬼にする・強い決意をする)、큰맘 먹고(=思い切って・意を決して)としてもよく使われます。
「마음을 독하게 먹고 거절했어요.」
(心を鬼にして断りました。)
「큰맘 먹고 명품 가방을 샀어요.」
(思い切ってブランドバッグを買いました。)

2. 感情や出来事まで「食べる」
韓国語では、日本語なら「~される」「~に遭う」と表現する場面でも、「먹다」が使われることが少なくありません。
① 욕을 먹다= 悪口を言われる、批判される
直訳すると「悪口を食べる」です。相手から投げつけられた嫌な言葉(욕)を、自分がそのまま受けて(食べさせられて)しまう様子を表します。
・「약속 시간에 늦어서 친구한테 욕을 엄청 먹었어요.」
(約束の時間に遅れて、友達にめちゃくちゃ怒られました / 悪口を言われました。)
② 겁을 먹다= 怖気づく、ビビる、怖がる
直訳すると「怖さ(겁)を食べる」です。恐怖心を自分の体の中に一気に吸い込んでしまって、体がすくんでいるような状態を指します。
・「커다란 진돗개를 보고 강아지가 겁을 먹었나 봐요.」
(大きな珍島犬(ジンド犬)を見て、子犬が怖気づいたみたいです。)
③ 골탕을 먹다= ひどい目に遭う、痛い目を見る
いたずらやトラブルに巻き込まれてしまったときによく使われます。
「친구가 장난쳐서 나만 골탕 먹었잖아.」
(友達にいたずらされて、私だけひどい目に遭ったんだから。)
④ 더위를 먹다= 夏バテする、暑さにやられる
日本語では暑さに「やられる」「あたる」と言いますが、韓国語では暑さを「食べる」と表現します。まさに今の季節にぴったりの言葉ですね。
「날씨が 너무 더워서 더위를 먹었나 봐요.」
(天気がとても暑くて、夏バテしちゃったみたいです。)
3. ネイティブらしい「먹다」
①애를 먹다= 手こずる、大変な苦労をする
ここでの「애」は「苦労、やきもきする心(または胃や腸などの内臓)」を意味します。それらをぐっと「消化(食べる)」しなければならないほど、大変な思いをする状態を指します。
「컴퓨터가 고장 나서 오늘 아주 애를 먹었어요.」
(パソコンが壊れて、今日はいやはや本当に手こずりました。)
②귀가 먹다= 耳が遠くなる
「耳が詰まって聞こえにくくなる」という意味。お年を召した方に親しみを込めて使うほか、「人の話を全く聞かない(耳を塞いでいる)」という否定的なニュアンスで使われることもあります。
「우리 할머니가 요즘 귀가 좀 먹으셔서 큰 소리로 말씀하셔야 해요.」
(うちの祖母が最近少し耳が遠くなったので、大きな声で話さないといけないんです。)
③나이를 거꾸로 먹다=歳を取るほど若々しく見える
直訳は「歳を反対に食べる」。「歳をとるごとに、どんどん若返っている」という大人の女性への嬉しい褒め言葉になる一方で、文脈によっては「歳ばかりとって、中身が伴っていない(大人気ない)」という皮肉にもなる、ちょっぴりドキッとする表現です。
「선생님은 나이를 거꾸로 먹나 봐요! 날마다 젊어지시네요.」
(先生は歳を逆に食べているみたいです!日に日に若返っていきますね。) ←まさに、スノク先生☺️
💡 講師からのワンポイントアドバイス
韓国語で「食べる」が幅広く使われるのは、「自分の中に何かを受け入れ、自分のものにする」という感覚が根底にあるからだと思います。言葉の背景にある感覚を掴むと、直訳では見えなかったニュアンスがすっと胸に落ちてきます。
実は、皆さんがよく知る「もう一つの超基本動詞」でも似た現象が起きています。次回は、そちらの秘密についてお話しします。それでは、次回もお楽しみに。안녕〜!
